これからレアストーンをコレクションしたい方や、
宝石はなんとなく知っているけれど、
最近人気のレアストーンってどんなものなのか知りたい。
そんな方々のために、レアストーンを5石選んでみました。
レアストーンも多種多様になり、様々な視点から選べば、
その候補となる石も多岐にわたりますが、
ここではあくまで、感覚的な市場の動向や好み?に基づいて決めています。
もくじ
抑えておきたいレアストーン5選の結論
・クリノフマイト/クリノヒューマイト
・グランディディエライト
・コンドロダイト
・ジェレメジェバイト
・アキシナイト
5つの石の選出する全てに共通していることは次の3点です。
クラリティ(内包物の割合)SI2(Slightly Included 2)以上がある程度存在すること
モース硬度(後述)が6以上であること
現在も鉱山から産出されていること
次にそもそもレアストーンとはどうゆうものを指すのかについてと、
上記のポイントの中から、モース硬度の説明をした後、
個々の選出したレアストーンの特徴について取り上げていきたいと思います。
そもそもレアストーン・希少性とは
希少性とは、一般的な価値原理と同じように、
例えば一年間あたりに採れる宝石質の石の量に対して、
どのくらいの需要があるかによると考えられます。
その点からいえば、ダイヤモンドなどは2050年までには、
主要な大規模鉱山が閉鎖され、採掘したダイヤモンドの使用目的が、
ほとんど工業用であることや、変わらないダイヤモンドの人気、
需要から考えれば、かなりの希少性であると考えられます。
しかし一方で、ダイヤモンドはリカット・リユースなど、
石そのものをリカットして価値を高めたり、
石がセッティングされているジュエリーのデザインを変えたりなど、
ダイヤモンドを取り巻くマーケットが整っており、流通量自体はあまり変化がなく、
世界にあるダイヤモンドは増えるにしろ減ることはほとんどありません。
![ダイヤモンド原石](https://itoishi.com/wp-content/uploads/2021/04/dmd_rgh-200x300.jpg)
ブルーダイヤモンドの原石
一方、たとえばビックスバイト(レッドベリル)などは、
硬度も7以上で貴石の部類にも入り人気の高い宝石ですが、
採石地が合衆国ユタ州のワーワー鉱山の一か所のみで、
さらに現在は閉山ということもあり、売買されているビックスバイト/レッドベリルは、
ほとんどが個人のコレクションか博物館に留まっているため、
かなり高い希少石であると言えるでしょう。
しかし、そもそも手に入らなければ話しになりません。
話はそれますが、あちこちの取引先やカッターにあたって、
2021年現在、これはなかなか手に入らないなあと
個人的に思うレアストーンはターフェアイトです。
石そのものが採れなくなってきている上に
メインの採掘場が、政情不安状態のミャンマーであることなどによります。
モース硬度とは
選出の基準のひとつとしましたモース硬度ですが、
ドイツの地質学者で鉱物学者の フリードリッヒ・モースによって1822年に作成されました。
鉱物をあるものでひっかいた時の傷つきやすさ
上記の尺度で1から10までランク付けられたものです。
その一部はより定量的であるので、
同じモース硬度レベルだからといって同じ硬さの性質を示すものではない
ことに注意したいです。
これは、矛と盾の例えではありませんが、同じモース硬度同志こすり合わせると、
一方は無傷で、一方は傷がつくということがあるためです。
また、昔から日本においても水晶(クォーツ)が比較的容易に採れていましたが、
モース硬度でいうと水晶は7に当たります。
「クォーツ」が、「硬い」という意味でしたので、
宝石が世界的に流通していなかった時代においては、
身近で非常に硬いクォーツは、宝石として貴重な石の一つだったのです。
このモース硬度7位になるとなかなか削り辛く、加工が難しくなってくるレベルになります。
このように、モース硬度は宝石においては、
その価値を判断するための一つの指標となっています。
しかし、ことレアストーンに関していえば、
一概にモース硬度が価値判断の指標とはなっていないようです。
例えば、カバンサイト/キャバンサイトなどは、
モース硬度が3~4と非常に柔らかくもろい石になります。
しかし、その鮮やかなブルーの色合いは人を引き付け、
あまり一般的ではありませんが、要望に応じてカボションカットされ販売されています。
それでは、前置きが長くなってしまいましたが、
5つのレアストーンのそれぞれの魅力について説明していきましょう。
それぞれオススメの理由
クリノフマイト/クリノヒューマイト
1980年代と比較的新しいこの宝石は、蛍光性を持った屈折率の高い輝きを武器に、
ゴールデンイエローの色合いも相まって非常に人気の高いレアストーンです。
小粒なものが多く、コレクションの焦点はクラリティでしょう。
SI以上のクラリティで、美しさを発揮する宝石です。
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クリノフマイト Clinohumite
基本情報 色: 茶色がかった色からオレンジ色、黄色、赤 屈折率: 1.623~1.702 化学組成: (Mg、Fe)9(SiO 4)4(F、OH)2 硬度: 6 比重: 3.17~3.35 結晶系: ...
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グランディディエライト
モース硬度7.5という貴石ともいえる硬度と
発色の良い蛍光ブルーが特徴的なレアストーンです。
濃い青緑色、無色(とても薄い黄色の場合もあり)、
そして濃い緑色の3つの強い多色性を示します。
1902年にマダガスカルで発見されたものの、不透明な石がほとんどだったのですが、
スリランカとマダガスカルの南海岸アンドラホマナの崖から、
透明度の高い宝石質のものが発見されました。
現在は、小粒ではありますが、クラリティも高いものが、
ほぼ安定的に手に入る状態にあり、今が狙い目です。
![guグランディディエライト](https://itoishi.com/wp-content/uploads/2021/04/fl_grddrt-300x238.jpg)
ハイクラリティの
グランディディエライト
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グランディディエライト Grandidierite
基本情報 色: 緑、緑がかった青、青みがかった緑、白 屈折率: 1.578~1.639 化学組成: (Mg、Fe)Al3(BO3)(SiO4)O2; 硬度: 7.5 比重: 2.976 結晶系: 斜方 ...
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コンドロダイト
上記のクリノフマイト/クリノヒューマイトの兄弟のような石ですが、
クリノフマイトほど採れないレアストーンです。
名前の由来が”穀物・小粒”にあるように、これも1ct以下のものが、
ほとんどですが、発色性の良い豊潤なウィスキーからイエローカラーで、
大人の宝石と言えるほど、無邪気な輝きに反した落ち着いた雰囲気を醸し出しています。
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コンドロダイト Chondrodite
基本情報 色:黄色、赤または茶色。 硬度:6~6.5 密度:3.16~3.26 クリスタルグループ:単斜晶 産出場所:フィンランド、タンザニア、グリーンランド、米国 コンドロダイトはヒューム石グループ ...
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ジェレメジェバイト
5選のレアストーンのうち、一番手に入りにくいと思われる非常に高価な石です。
わずか3.0cmほどの透明性の高い原石も持っていますが、
十年ほど前に手ごろな価格で購入したものが、
今ではとても買えないほどの価格になっています。
これもグランディディエライト同様強い多色性を示し、
透明性の高い美しいブルー系の色合いに目を奪われます。
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ジェレメジェバイト Jeremejevite
基本情報 色: 無色、白、やや黄色、青、薄黄褐色、マリンブルー 屈折率: 1.64~1.65 化学組成: Al 6 B 5 O 15(F、OH)3 硬度: 6.5~7.5 比重: 3.28~3.31 ...
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アキシナイト
アックスストーン≒斧の石なんてカッコイイ名前のレアストーンです。
これも多色性を持った石で、最近では宝石の一部にブルーカラーのアクセントを
持ってくるようにカットされたピースに人気があります。
原石の選定ももちろんですが、カットする技術も含めて新しいレアストーンになっています。
ひとつはコレクションしたい逸品です。
![アキシナイト](https://itoishi.com/wp-content/uploads/2021/04/axinite_ub-300x175.jpg)
キュレット周りがブルーカラーのアキシナイト
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アキシナイト Axinite
基本情報 色:紫褐色、無色、赤紫、ピンク、オレンジ、黄色がかった(Mn) 屈折率: 1.656~1.704 化学組成: Ca2FeAl2(BSi4O15)(OH) 硬度: 6.5~7.0 比重: 3. ...
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最後に
いかがでしたでしょうか。
まあ半分は独断と偏見ですが、見直してみると全体的に多色性と硬度が、
キーワードとなっているようですね。
コレクターとしては、この5種からはじめてみたら良いかもしれません。
ジェレメジェバイトだけ少し高価ですが、他の4種は、
お手頃にそこそこのクラリティで求めやすくなっています。
また、レアストーンに限らず宝石のコレクション方法や、
レアストーンを身に着けたい方向けの記事もありますので、
合わせて読んで頂ければ幸いです。