ロードクロサイト Rhodochrosite

基本情報

  • 色:ピンク、ローズ、レッド、イエローグレー、ブラウン、ホワイト、グレー;透過光で無色から淡いバラ色
  • 屈折率: nω=1.814-1.816, nε=1.596-1.598
  • 化学組成: MnCO3
  • 硬度: 3.5 ~ 4.0
  • 比重: 3.7
  • 結晶系: 三方晶系
  • 産出場所: 日本、中南米、アメリカ・コロラド州、南アフリカ、ルーマニア他

ロードクロサイトは、日本名では菱マンガン鉱といいます。産出場所によっては、化学式内(Mn)CO3
のMn(マンガン)部分が鉄、マグネシウム、カルシウムなどに置き換えられる場合もあります。

1813 年にヨハン・フリードリヒ・ルートヴィヒ・ハウスマンによって、
ギリシャ語で「バラ」を意味する ρόδο と、その色を表す「着色」を意味する χρώς から命名されました。

一般に、中温から低温の熱水脈で一次鉱物として、高温の変成鉱床や堆積マンガン鉱床でも、
またはペグマタイト、特にリチオフィライトを含むペグマタイトの後期熱水鉱物として産出されます。

生体ミネラルとして、苔癬などのいくつかの菌類によって酸化中に形成される場合が稀にあるようです。

出どころ

マンガン鉱とい名の通り、他のマンガン鉱物が通常存在する世界中の少数の場所で発見されます。

コロラド州アルマ近くのスイートホーム鉱山が最初の産出地として有名です。アルゼンチン、南アフリカ、ペルーから中国、日本までこまごまと採れますが、産出量自体は少なくまとまった鉱床はあまりありません。なお、ロードクロサイトはコロラド州の公式の州鉱物です。

ロードクロサイトは一般に識別しやすく、他の鉱物と混同されることはほとんどありません。そのピンク色、三方向への完全な劈開、低い硬度、および冷希塩酸による弱い発泡は、他の鉱物ではほとんど見られない特徴です。

産出の際混同されることはないのですが、販売側で混同されることがあります。最も一般的な混同は、「ロードクロサイト」と「ロードナイト」です。 どちらもピンク色のマンガンが豊富な鉱物で、非常によく似た名前を持っているためです。

ロードクロサイト

見どころ

色は、淡いピンクから明るい赤まであります。基本情報で説明した通り、マンガンの部分が変化すると鉱物の比重、硬度、色も変化します。
明るいピンク色は、この化学的変動に応じて、灰色がかった色、黄色がかった色、または茶色がかった色になることがあります。

主にカボションカットされて市場には出回っていますが、偽物が多いのも特徴的です。

わたしは、カボションカットや球状のロードクロサイトは扱いませんが、これらは、粉末状の原石を樹脂で固めて加工して売られている場合があります。天然石のロードクロサイトのビーズを選ぶときは、その点も注意したいですね。

ロードクロサイトは、当初カボションカットされて販売されていたのですが、近年透明感の高いピースをファセットカットして出回ることが多くなりました。時々、ファセットカットされた素晴らしい透明な標本が見つかることがあります。

ファセットカットしたロードクロサイト

ファセットカットしたロードクロサイト

鉱物のモース硬度は3.5~4.0程度なので、身に着けるには少し不適当ですが、透明感のあるピースは独特のとろみのあるキャンディーレッドカラーはとても魅力的で、市場でも人気が高い一品です。