もくじ
基本情報
- 色:事実上すべての色、青は非常にまれ。
- 屈折率: 1.72〜1.94
- 化学組成: X3Y2(SiO4)3
- 硬度: 6.5〜7.5
- 比重: 3.1~4.3
- 結晶系: 正方晶系
- 産出場所: スリランカ、タンザニア、バフィン島、カナダなど
ガーネットには、様々な種類があって、物理学的特性や結晶系は同じですが、
化学組成がそれぞれ異なっていて(上記基本情報の化学組成X,Yに入る物質が変化)、
その化学組成の違いによって、色味や特性が変化していきます。
その昔、日本の山道や河原でも落ちていたガーネットは、特に年配の世代にはなじみが高く、
色味や粒粒感でラテン語で「ザクロ」を語源として呼ばれていました。
現在でも、運が良ければ山道や清流に落ちている可能性があります。
ガーネットの中でも、一般的なアルマンディンガーネットなどは、
宝石の中でも硬度が高く、赤色という高価な部類のカラーにもかかわらず、
産出が膨大であるがゆえに非常にリーズナブルな価格で売られています。
ガーネットの中でも、とてもレアな宝石も存在していて、
ここでは、そのレアストーンにも注目して紹介したいと思います。
出どころ
アルマンディン(鉄礬ザクロ石)
ガーネットの代名詞ともなっている最もポピュラーでなじみの深いガーネットです。
産出量も豊富で、道端にも落ちていた宝石です。
鉄とアルミニュウムを主成分とするケイ酸塩鉱物で、
一般的には、宝石として出回っていますが、不透明で小さなものは、
その硬度を利用して研磨剤としても需要があります。
結晶の方向によってカボションカットされ、スター効果のあるものもあります。
![アルマンディン](https://itoishi.com/wp-content/uploads/2021/05/almandine_qz_s-300x300.jpg)
クォーツとアルマンディンガーネット
パイロープ(苦礬ザクロ石)
ボヘミア地方が歴史的に有名な産地です。
「火のような」というギリシャ語に由来があるように、真っ赤な色合いが特徴的で、
ヴィクトリア女王が愛した宝石で有名ですね。
ヨーロッパのゴールドラッシュとパイロープの産出時期が重なって、
金とパーロープを組み合わせた宝飾品が大流行した歴史があります。
![パイロープ](https://itoishi.com/wp-content/uploads/2021/05/pyrp_dpsd_s.jpg)
パイロープガーネットとディオプサイド
スペサルティン(満礬ザクロ石)
基本情報の組成で、X,Yにマンガンとアルミニュウムが入り、主に褐色ものが多い宝石です。
ガーネットの中では、比較的産出量が少なく、コレクターアイテムの意味合いが強くなります。
スペサルティンの中でも、前世紀末にナミビアでオレンジカラーが強い石が発見され、
「マンダリンガーネット」の名で人気を博しました。
![スペサルティンガーネット](https://itoishi.com/wp-content/uploads/2021/05/spessartine_gnt_s-300x300.jpg)
スペサルティンガーネット/スモーキークォーツ
グロッシュラー(灰礬ザクロ石)
グロッシュラーといえばグリーンカラーが有名ですが、実はオレンジや褐色も存在します。
グリーンカラーとなると、ご多分に漏れずそのほとんどが不透明です。
「トランスパール・ジェード」という商品名があります。
近年タンザニアで発見された透明な結晶は、エメラルドに色合いが近く、
ツァボライトという名で人気の宝石になりました。
ツァボライトが有名になりすぎて、現在ではグロッシュラーの名は隠れ、
ツァボライトが独り歩きしている感があります。
また、無色のガーネットはLeuco(ロイコ)と呼ばれ、このグロッシュラーガーネットの一種となります。
ロイコガーネットは、実際は黄色や緑色を呈していて完全な透明色はなかったのですが、
ミャンマー産のロイコガーネットは完全に透明で、
ほんの少しピンクがかっているものもありますがほぼ完全に無色なレアストーンです。
グロッシュラーファミリーには、シナモン色のHessonite(ヘソナイト)も含まれています。
![ツァボライトガーネット](https://itoishi.com/wp-content/uploads/2021/05/tsavrt_gnt_s.jpg)
タンザニア産ツァボライトガーネット
アンドラダイト(灰鉄ザクロ石)/ デマントイド
ある程度名の通ったガーネットの中では一番高価と思われる宝石です。
その高い評価は、産出量もありますが、ひとえにダイヤモンドを上回る
キラキラとした強い光の分散にあるようです。
その名も「ダイヤモンドに匹敵する」という由来がありますので当然の評価でしょう。
パイロープ同様にヴィクトリア期に人気が爆発した宝石ですが、
ロシア、イタリアでわずかに採れる程度で、現在では大きな結晶は見かけません。
![デマントイドガーネット](https://itoishi.com/wp-content/uploads/2021/05/demntd_gnt_s.jpg)
デマントイドガーネットの結晶
ロードライト(薔薇柘榴石)
アルマンディンとパイロープの中間の組成となっているのがロードライトです。
ギリシャ語のrhodonの名のように、薔薇の色合いから由来する石ですが、合衆国で産出された当初、
この色合いと透明感からガーネットが最初に宝石として地位を得たものがこのロードライトとなります。
![ロードライトガーネット](https://itoishi.com/wp-content/uploads/2021/05/rhodolite_garnet_s-300x300.jpg)
ロードライトガーネットとホワイトクォーツ
マラヤ(和名無し)
スペサルティンとパイロープの中間組成のガーネットはマラヤガーネットと呼ばれますが、
主に色合いを主体にマラヤと扱われることが多い宝石です。
最初にタンザニアで発見されたこの宝石は、当時ガーネットにおいて人気の高かった
スペサルティンに比較され、スワヒリ語で「家族(スペサルティン)の外」とい意味合いの、
少し悲しい歴史のある宝石ですが、そのピンクがかったオレンジという美しい色合いとともに、
じわじわと人気の出てきた宝石です。
また、ウンバ川付近で発見されたことからウンバライトという名でも通っています。
微量のバナジウムまたはクロムの存在が原因で、日光および白熱灯の下で色が変わる可能性があります。
ウバロバイト(和名無し)
カルシュウムとクロムを含むケイ酸塩鉱物です。
ガーネットには様々な種類がありますが、このウバロバイトが最も産出量が少なく希少です。
ほとんど十二面体の結晶で存在しますが、あまりの小ささにカットが刻めません。
![ウバロバイト結晶](https://itoishi.com/wp-content/uploads/2021/05/ubvt_crls-300x300.jpg)
ウバロバイト結晶
上記のガーネットは含む物質の量により、同じ種類でも色合いが異なりますが、
ウバロバイトは緑一色のみとなり、この緑色はクロムが起因するものです。
ウバロバイトの名前は、ロシアの鉱物収集家セルゲイ-ウヴァーロフにちなんで名付けられました。
フィンランドのオウトクンプで大きな結晶が産出されますが、非常に少量です。
濃い緑色のガーネットをウバロバイトと呼ぶことがありますが、
厳密には上記グロッシュラーグループに属し、ウバロバイトとは別の鉱物となります。
結晶が細かいため、板状の結晶そのままでペンダント等に加工されることもあります。
見どころ
ガーネットで希少といえば、青色と無色になるほど、豊富な色合いをもつ宝石です。
前項では取り上げていませんでしたが、ガーネットの青色は、
マダガスカルやケニア産の変色ガーネットに見られることがあります。
これらの宝石の中には、日光の下では緑がかった青色を示し、
白熱灯の下では濃い紫色を示す特性を持っています。
これらの色合いをコレクションするのも面白いかもしれません。
![グロッシュラーガーネットセット](https://itoishi.com/wp-content/uploads/2021/05/grossular-garnet-colors_set-300x187.jpg)
グロッシュラーガーネットのカラーセット
在庫紹介