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魅惑のパパラチァカラー ベイリネナイト/ヴェイリネナイトとサファイア、モルガナイト

パパラチアカラー/パパラチャカラー(padparadscha)の由来

パパラチャカラーと言われたら、どんな色合いを思い浮かべるでしょうか?

サーモンまたはサンセットカラーと表現する人もいますし、

熟したグァバの果肉の色という人もいます。

そもそも、この言いにくいパパラチャという色名の元をたどると、

シンハラ語の「パドマラガヤ(蓮の花の色)」から由来していると言われています。

「蓮の花の色」といっても様々ですので、商品名として売り出すには、

データに基づいた定義づけが必要となります。

そうしてはじめて、その色を確認するための色安定性テストが可能となるわけです。

 

多くの宝石ラボが、パパラチャは、

標準的な光の下で見たとき、ピンクがかったオレンジからオレンジがかったピンクと、

パステルトーンが微妙に混ざり合い、彩度は低から中程度である。」と定義されました。

なかなか専門的な表現で難しいですが、

それでも、少しは色のイメージを掴むことができたのではないでしょうか。

この定義通り、とても複雑で魅力的な色合いだと言えるでしょう。

パパラチャカラーの代表的な宝石

ベイリネナイト/ヴェイリネナイト

ヴァイリネナイトは、赤、ピンク、オレンジのさまざまな色合いを示します。

実はこのベイリネナイト/ヴェイリネナイトもパパラチャカラーが、

もっとも価値の高い色合いとされます。

それほど、パパラチャカラーというのは人々を魅了するようです。

アフガニスタン産ヴァイリネナイトクリスタル

しかし、ベイリネナイト/ヴェイリネナイト自体はレアストーンとしての価値が高いので、

後述するサファイヤほど価値の乱高下を起こすことはありません。

このレアストーンの難点を挙げるとすれば、

ほとんどがとても小さなピースなので色合いがわかりにくいところでしょうか。

 

サファイア

ベイリネナイト/ヴェイリネナイトとサファイアは、ほとんど異なる特性を持つ別種の宝石です。

サファイアの場合、レアストーンであるベイリネナイト/ヴェイリネナイトに比べて事情が複雑です。

なぜなら、ファンシーサファイアがパパラッチャカラーであると価値が劇的に変化するからです。

非加熱のパパラチャサファイアを見つけるのは、ほぼ不可能と言ってよいでしょう。

一般的に、サファイアは加熱処理されます。加熱後も色味は少しずつ変化していきます。

ここで奇跡的にパパラチャサファイアが出現するのです。

 

加熱処理とは別にれをベリリウム拡散処理というものがあります。

ベリリウムの存在下で極端な温度まで加熱すると、色の薄いピンクサファイアが、

絶妙なピンクがかったオレンジカラーからオレンジがかったピンクカラーの

パパラチャカラーで現れることがあります。

ベリリウムはサファイアの奥深くまで浸透するため、検出が非常に困難です。

ベリリウム拡散処理は加熱処理と違い色味に直接働きかけるので、

鑑別でこの処理が判明すれば、その価値は急降下してしまいます。

 

業界の人々は、出来るだけパパラチャサファイア名で販売したいので、

パパラチャサファイアとファンシーサファイアの区別が非常に難しい場合、

ライトからミディアムピンクがかったオレンジからオレンジピンクまでの範囲であれば、

パパラチャサファイアとして売り出します。

どの程度ピンクまたはオレンジになるか、特定の色調が暗すぎて認定できないかどうかが分かれ目でしょう.

しかし、鑑別の結果、多くはピンクサファイアまたはファンシーカラーサファイアに変化してしまいます。

その時の落胆と言ったら・・・

ピンクサファイア

 

もちろん、ピンクサファイアも人気があり綺麗ですが、価値だけをみるとするならば、

パパラッチャサファイアには遠く及びません。

パパラチャサファイアは、サファイアの中でも最も希少なサファイアの 1 つです。

これらのレアストーンは、意外にほとんどの人に知られていませんが、

見ればきっとその色合いに魅了されることでしょう。

マダガスカル産は、オレンジ色よりもピンク色が強く、

非常に美しく、パパラチアサファイアが比較的よく採れるところです。

通常、高温で加熱されたスリランカ(セイロン)産のパパラチャサファイアよりも、

低温で加熱されたマダガスカル産のパパラチャサファイアをお勧めします。

 

モルガナイト

モルガナイトは色味の範囲が大きく、パパラチャカラーを見つけるには

難しいですが、確かに存在します。

以下は、モルガナイトのカラーチャートです。

オレンジピーチか、オレンジピーチのブラウンピンク側が、

パパラチャカラーといっても良い色域ではないでしょうか。

この3種のなかでは、モルガナイトの産出量が圧倒的に多いので、

輝きの大きく比較的大粒でも手に入るピースなこともあり、

パパラチャカラーファンの方は、モルガナイトのパパラチャカラー

探してみると良いのかもしれません。

 

まとめ

人々を魅了して止まないパパラチャカラーですが、

以上の3種の宝石に絞って、考察してみました。

ここで少しこの3種を、手に入りやすい順と価格順で、

それぞれランキングしてみましょう。

価格順

サファイア

ベイリネナイト/ヴェイリネナイト

モルガナイト

サファイアとベイリネナイト/ヴェイリネナイトの順位は微妙ですが、

ここは、世界3大宝石に譲った感じです。

 

手に入りやすい順

モルガナイト

サファイア

ベイリネナイト/ヴェイリネナイト

これは、こんなものでしょう。

マダガスカルに良質なパパラチャサファイアが見つかってからは、

従来に比べれば、まだ手に入りやすくなったといえるでしょう。

 

最後に

いかがでしたでしょうか。

4種目にスポジュメンのリシア輝石からクンツァイトも挙げようと思ったのですが、

これは、ライラックピンクカラーという色合いが売りで、

オレンジへの偏りもなくピンクが強いピースということで外しました。

 

一度、肉眼でパパラチャカラーを堪能してみてはいかがでしょうか。

あなたの宝石の見方も変わるかもしれません。